Special
LUVONICAL Journal Vol.1
自分で自分の時間をデザインし 、無理はしない 仕事とプライベートを分けない生き方

大阪の堀江に店舗とアトリエを構える花屋「 LUVONICALflower works 」open当時からフローリストそしてディレクターを務める髙島美夕紀が、今会いたい人と対談します。
今回は、LUVONICALのお客様でもあり、自身で無着色・無添加・無香料・自然派化粧品の「 ECLAT by sayuri 」をプロデュースする「 sayu 」さんと高島が対談。
子どもが同じ歳の頃に迎えた転機や、生きていく上で大事にしていること、お互いの価値観について今回初めて対談しました。

左:ECLAT株式会社 代表取締役 化粧品開発 sayuさん
10年間某大手化粧品会社勤務のち、自らの肌トラブルの経験から同じように悩む人たちへアプローチできる商品を開発したいと思い、2016年 自身プロデュース化粧品ブランド「 ECLAT by sayuri 」を立ち上げ、現在に至る。
右:LUVONICAL髙島美夕紀
大阪南堀江にあるフラワーショップ「LUVONICAL flower works」ディレクター。
11歳の息子と2歳の娘の2児の母。
20代の頃から花屋で勤務し、フリーランスを経て現在FUNDERLUXE,Inc. が運営するLUVONICALflower worksを立ち上げ、ウェディングの装飾や撮影、ブランドのイベントやパーティーなどの装飾、南堀江にあるshopのディレクションを手掛けている。
子どもが4歳の時に訪れた人生の転機
髙島:じっくりこんな風にお話したことなかったですよね。sayuさんっておいくつなんですか?私は今40です。
sayuさん:今36で37になる歳です。
髙島:私が今のLUVONICALを始めたときがちょうど息子が4歳の時でした。sayuさんも娘さんが4歳の時に独立されたんですよね?まだまだ手の離れない娘さんがいる中での「独立」って大変じゃなかったですか?
sayuさん:大変やった記憶がなくて。それよりも楽しいワクワクの方が大きかったのでそんなに苦ではなかったかな。それまでも普通に化粧品会社の美容部員として普通に働いてたから。
髙島:独立しようと思ったきっかけは何だったんですか?
sayuさん:全然話すのはいいんですけど、めちゃくちゃリアルすぎて。(笑)
別居しまして。(笑)
なんか会社員のときは「普通に働いて普通にお給料もらって、普通に生活したらいいかな」って思ってたんですけどね。急遽娘との二人暮らしが始まったときに、ふとこのままこの働き方で、お給料で、朝から夕方まで働いてそのあと、保育園に迎えに行ってこの生活スタイルって今後どうなんだろうって疑問に思って。今までの延長線上で考えたら安定していて会社員を続ける選択肢もあったんだと思うんですけど、ふと見上げると、女性もこれからは自立できるし、自分の人生自分でデザインできるって思ったんですよね。もともと化粧品
に関しての興味はあったので、これを人生の転機と考えて、自立してやっていこうかな、って思いました。
髙島:独立してよかったことと、大変だったことは何ですか?
sayuさん:大変だったのは、未来に対する不安かな。ちゃんとやっていけるかな、って。
良かったことは、「時間の調整ができること」です。自分で時間や生活スタイルをデザインして、休みたいときは休んで、娘との時間もつくれるようになったこと。
あとは、独立して自分でやり始めると関わる人もどんどん変わってきて、知らないことに次々出会えて自分自身が成長できるというか、、、それは本当に良かったなって思います。
美夕紀さんはどんな感じだったんですか?
髙島:私は、独立はもちろん、子育てしながら花屋さんに戻るつもりも全くなくて、依頼があったときだけお花の仕事をするという感じだったんですよね。でもこれまた私の人生の転機となることが起きまして。(笑)当時、私が20歳から24歳まで南船場の花屋さんに勤めていたときに、近くにカフェがあって。そこの店長さんが、お客さんのお誕生日の時に渡す、小さい花束をよく買いに来てくれていたんです。その店長さんが、今LUVONICALを運営している伊藤くん(弊社代表)で(笑)
当時は共通の友人もいたりと、なんだかんだと共通点があったものの、一緒に遊んだりする関係でもなくて。そこからだいぶ時間がたって、私が33歳の時に当時の共通の友人から連絡があって、「伊藤が美容室を始めるんやけど、店舗にお花を飾りたいらしくて、美夕紀ちゃんにお願いできひんかな?」って。ちょうどその時、息子が幼稚園に行き始めた頃で、美容室に週1飾るくらいやったらいけるかな!って思って、それなら話聞きに行くねー!ってとこから久しぶりに再会して。美容室のお花を飾るお仕事をやらせてもらうことになった
んですよね。
sayu:へーそれで本格的にやることに決めたんですか?
髙島:いえいえ、それはまだLUVONICALをはじめる段階ではなくて。今思えばその再会が私の転機だったんですよねー。美容室にお花を飾りはじめて数ヶ月後に、伊藤くんからブライダルのお仕事やってみーひん?って声を掛けられて。
息子いてるし、ブライダルのお仕事は土日が本番だから、私には絶対無理やからーって断ってたんですけど、美夕紀ちゃんが子育てと花屋の両立ができるように、土日は俺が息子の面倒みるわ!って言っくれて。それでも私は無理ムリーって言ってたんですけど、気がつけばだんだん断られない状況になってきて、気がついたらここまできた感じです。(笑)
sayu:え。すごい!!!それで今の形態でやるようになったんですか?
髙島:いえいえ。最初はちゃんとした花屋ではなくて。今店舗として運営している場所をアトリエ的に使っていました。当時4歳になったばかりの息子がいたので、IKEAのロフトベッドを置いてもらって、上に息子、下をワークスペースにして私が仕事の時は息子も一緒に出勤して、ロフトベッドが息子のスペースになっていました。
私が納品に行っている間は、息子を伊藤くんがみてくれて、そんな感じで初めの1年半くらいはやっていました。途中からは店舗として運営していったんですが、その時もまだ息子が小さかったのでロフトベッドは置いたままで、ベッドから息子が顔を覗かせるので、お客さんは、はじめはビックリするんですが、その光景を楽しんでくれていましたね。
あの当時を振り返ると、本当にバタバタで大変でしたが、楽しいが勝っていたから、私もsayuさんと同じで「苦」には感じていなかったかな、と思います。
sayu:面白い!波に乗って自然な流れで今があるんですね。

自分で自分の時間をデザインし
無理しない人生を生きる
髙島:sayuさんに聞いてみたいことがずっとあって。店舗にいらっしゃる時もいつも綺麗じゃないですか。今娘さんが小学校3年生で、ご自身のケアもしながら仕事して、子育てして自分の時間をどうやって捻出してるのかずっと気になっていました。(笑)
sayuさん:え!!私、多分自分で言うのもなんですが、時間を調整するのが上手なんです。無理してまで仕事もしないし、疲れたらちゃんと休むし。(笑)
髙島:やっぱり!!!私の周りで起業されてたり第一線で活躍している方は、「時間調整が上手」って言っている人が多いんですよ。 無理しないって。無理な仕事は断るし、と。私はそこがめっちゃくちゃ下手で馬車馬のように走って、その結果最後に疲れ果てるというループなんですよね。いい加減このループをやめたいって思ってるんです、最近。
sayuさん:仕事とプライベートは分けるという考えがなくて人生という単位で見れば同じなので、プライベートと仕事どっちも大事だから優先順位はないんですよね。どっちもバランスよく大事だから、そこはうまくデザインしている感じです。境界線をバチっと引いてないかも・・・仕事がプライベートでもあり、プライベートが仕事でもありという感じですね。
髙島:なるほど〜。。。
sayuさん:特に今年はコロナ禍でリモートワークも当たり前になって、誰かに決められた人生ではなくって、自分の好きや得意を仕事にしていけると思うんです。だから好きなことと仕事を分けるんじゃなくて、そこが交わるようにできたらそれが理想だな、って。
だから私の会社は全員で3名なんですけど、みんなにもそういう働き方、生き方をしてもらえたらいいなって思ってます。
髙島:そうですよね。LUVONICALも女性が多く働いていて、結婚・妊娠・出産などライフステージが変わるときにどう働き続けられるか、良い環境を作っていくか、そしてそういうことを踏まえて採用をどうしていこうか、とまさに今考えているんですよ。
sayuさんのスタッフさんはどうやって採用したんですか?
sayuさん:2人ともインスタで募集して採用したんです。私と一緒に仕事したい、ECLATのコンセプトに共感した、という感じです。採用する時に、インスタ上で私のことを知っている人から採用するか、もしくは全く知らない人から採用するか・・・色々と考えたんですけど、やっぱり行き着いたのは、「好き」というエネルギーは何にも変えられないんですよね。全く知らない人とはスタートが違うというか。LUVONICALの採用はどうしているんですか?
髙島:私もsayuさんと似ていて、「人のパワー」が一番影響するし大事だなって感じているので、面接だけでは正直わからないから、会社のコンセプトだったり、今いるメンバーとのマッチングだったりを考えています。あと、やっぱりお花が好きで、LUVONICALファンでいてくれていることは大きいですね。今いるスタッフもお花が好き、LUVONICALが好きがはじまりの子が多いですね。
sayuさん:私も完全に同意です。
髙島:ただ、花屋はみなさんが思い描いているイメージと実際の業務内容が天と地ほど違うんで(笑)「好き」だけだと実際想像もしてなかったほど、体力仕事が待ってた!!とびっくりする人も多くて。朝一まだ太陽が昇る前から市場に行って買い付けしたり、結婚式の現場ではたくさんの花材を持って会場に入って決められた短い時間内で装飾をしたり。仕事は全般的にそうかもしれないんですけど、綺麗に見える業界の裏側は、とてつもなく過酷なことが多かったりする場合が多いと思うので、うちは採用前の数ヶ月間はトライアル期間を設けていますね。そこを体験してもやっぱり働きたい、と思ってくれる人じゃないと、このお仕事は長くは続けられないと思うので、この期間はお互いにとってとても必要な時間だと思っています。
sayuさん:そうなんですね。意外でした!!フローリストの方々が頑張ってくださっているからこそ美しい世界があるんですね。
髙島:そう言っていただけると嬉しいです。花屋って結婚し出産したあとの離職率が高いんですよね。それをどうしても良くしたくて。最近産休に入ったスタッフもいて、女性のライフステージの変化による働き方に関しても、これからちゃんと仕組みを作って業界の当たり前を少しずつでも変えたいって思っています。

完璧にする必要はなく子どもにも頼って
仕事とプライベートは分けない
髙島:未来の計画って立ててますか?
sayuさん:私計画とかたてない方なんですよね。遡ったら5年前に今のことを思ってなかったかな、と。今に満足してるわけじゃないけど、状況は変わるし、そのときの自分の感情を大事にしようと思っている感じですね。美夕紀さんはどうですか?
髙島:私の今で言うと、仕事では立場があって、家庭では小さな娘(2歳)がいてる中で、なかなか自分で先の事を決めて、それに向かって調整して動ける環境じゃないな、と思ってしまうところがあって。。。特に今は無我夢中に走ってた頃よりも、周りが見えるようになってきて、自分はこうしたい!って思っても、なかなか先の目標に向かって進む事が出来なくなってきているように思います。
sayuさん:自分一人で完璧にしなくてもいいと思います。周りの人に頼っていっていいと思いますよ。完璧にしようと思ったら疲れちゃいますしね。多分私、子供と仕事もきっぱり分けていなくて、どうしても家で仕事しないといけない時は、「ちょっと静かにしといてー今、仕事大変やから」と娘に言っています。その時、娘も、「うんわかった!あ、OKOK今そういう感じね」と理解してくれています。(笑)娘自身も、仕事とプライベートも別じゃないというか。仕事にもついてることもあったし、逆に大人の人とか関わることでそれはそれでよかったと思うし。でも、やっぱりこっちに合わせてもらうばっかりじゃあかんから娘にも合わせて一緒に遊びにいったり、服を買いにいったりしています。
うん、甘えていいと思う!!!(爆笑)
髙島:私も甘えていいと思ってる。じゃないと仕事との両立とかできないし。(笑)
化粧品とかファッションはsayuさんの仕事でもあって、仕事とプライベートが分かれていない感じですが、何からインスピレーションを受けていますか?
sayuさん:うーーん・・・・強いて言えばやっぱり旅ですかね。海外いくのが好きで。今はこんなご時世だからいけないけど。
髙島:コロナで何か仕事に影響ありましたか?
sayuさん:特になかったかな。通販だから自宅で美容ケアしている人が多かったから逆にお役にたてているかな、という感じです。趣味は本当になくって唯一あげるとしたら、小さい時から常にビジネスに興味があって。どうしても考えてしまうというか。例えばごはん食べにいったら、もっとこうやったらいいのに、、、とか思ってしまったり。両親が商売してたからかも。そういうことを考えることが好きなんですよね。育ってきた環境がそもそも仕事もプライベートも分けない感じだったんだ、と今話をしていて思いました。
髙島:ということは、今の環境はすごく合ってるんですね。娘さんの将来も楽しみですね。
うちも息子たちをみていてこの母の背中を見て何を選択するんやろうって思って。クリエイティブなところではなくって全然違うお堅いところに行ってほしいとも思うというか。
sayu:え?そう思うんですか!!!(驚)
髙島:息子が10歳のこの1年、側で見ていて、すごく成長しているように思えてて。
今年はコロナで学校もお休みになって、ただでさえ私が土日は仕事でお家にいない事が多くて、全然見てあげれてないな、、、って色々と気になっていたけど、息子は息子なりに自分で自分の時間を調整したりデザインできるようになってきていて、それがとても頼もしくて。それを見ていると、あながちこの環境も悪くなかったなって思って。最近はそれが嬉しいなって。そう思わせてくれた息子に感謝ですねー。

-sayuさんから見た「髙島美夕紀」はどんな人?
sayuさん :自分と似てるって思った。雰囲気とか。ゆったりしているところ。仕事!!みたいな感じではなく、大事にしたいものを大事にしているという感じがとてもいいな、って思った。
仕事とプライベートのバランスもご自身で理解されていると思いました。
-髙島美夕紀から見た「sayuさん」はどんな人?
髙島:実際ちゃんとお話してみて、おっとりしていて、よりナチュラルな方でした。
仕事とプライベートを分けていないのもなるほど!って思ったし、「無理しない」という言葉が印象的でした。
丁度いい感じのマイベースでしっかり自分の軸があってやっぱり素敵だなって思いました。


<髙島美夕紀からsayuさんへmessage>
さゆさんは以前からずっと白グリーンのイメージがあって。
でも今回は色を入れたいなって漠然と思っていて。
さゆさんをイメージしたら女性らしいピンクベージュのバラを手に取ってました。
それに合わせて少し濃いめのアンスリュームを挿し色に。
対談前に束ねていた花束。
対談を終えてさゆさんのイメージにぴったりなお花を選べてんじゃないかなっと
さゆさんの笑顔をみてそう思ました。
お花と女性の笑顔。
とっても素敵な組み合わせだなー。っとあらためて感じさせてくれた一日でした。
さゆさんありがとうございました。
LUVONICAL flower works: https://www.luvonical.com/
<編集後記>
Instagramを通じてsayuさんのことは知っていましたが、想像していた印象とは違ってとてもおっとりして、空気感が優しく、でもどこかにしっかり強さがある人だと感じました。
現在のお仕事をされていることも、sayuさん自身の人生がぎっしり詰まっていて全てが点ではなく線でつながる感覚でした。そんなsayuさんと高島さんの対談は、終始”優しさ”で溢れていて、お二人とも肩の力が抜けている感じで、とても和やかでした。「無理しない」「子どもにも頼る」といったキーワードも、つい頑張りすぎてしまったり、子どもには笑顔でいないと!など母親キャラクターを作ってしまいがちですが、お二人の話を聞いて、「きっとこうやっていられたらママたち幸せだろうなー」と心から思えた時間でした。
執筆・編集:市川千尋