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LUVONICAL Journal Vol.2
<前編>自分にとっての「ちょうどいい」で生きる 働くことと暮らすことの境界線を曖昧に

OURHOME主宰 株式会社i bridge取締役 Emi(エミ) × LUVONICAL 髙島美夕紀

大阪の堀江に店舗とアトリエを構える花屋「 LUVONICALflower works 」open当時からフローリストそしてディレクターを務める髙島美夕紀が、今会いたい人と対談します。

今回は、知り合ってから8年になる、OURHOME主宰であり、株式会社i bridge取締役、整理収納アドバイザーとして活躍する​Emi​さんと高島が対談。出産や育児、独立のタイミングが一緒だった二人が子どもの成長とともに変化していった考えや、これからやっていきたい
こと、人生にとって大事なことやお互いの価値観を改めて対談しました。

OURHOME主宰 株式会社i bridge取締役 Emi(エミ) × LUVONICAL 髙島美夕紀

右:Emi(エミ)
OURHOME主宰。株式会社i bridge取締役。整理収納アドバイザー。
2008年ブログ 「OURHOME」 を開始。11歳の双子の母。
大手通販会社での8年にわたる商品企画の経験を生かし、スタッフ18名とともに、オリジナルアイテムのオンラインショップを運営。2015年に法人化し、夫婦で会社を経営。
現在は、著書執筆、メディア出演、オンラインショップ&くらしのレッスン運営と、家族の"ちょうどいい"暮らしをお届けしています。これまでの著書は 16冊、累計48万部。(2020年12月現在)

左:LUVONICAL髙島美夕紀
大阪南堀江にあるフラワーショップ「LUVONICAL flower works」ディレクター。
11歳の息子と2歳の娘の2児の母。
20代の頃から花屋で勤務し、フリーランスを経て現在FUNDERLUXE,Inc. が運営するLUVONICALflower worksを立ち上げ、ウェディングの装飾や撮影、ブランドのイベントやパーティーなどの装飾、南堀江にあるshopのディレクションを手掛けている。

まずはお二人の出会いを教えてください

髙島:私がEmiさんの写真整理のレッスンに参加したのが初めての出会いでしたね

Emi:今年で独立して8年になるのですが、初めて自分が整理収納アドバイザーとして活動したレッスンが子供の写真整理のレッスンだったんですよ。場所は西宮にあるカフェで、本
当に小さなカフェの端っこのスペースをお借りして始めたのが最初なんです。
私は元々大学卒業してから、通販カタログの商品企画プランナーとして8年くらい働いてたんですけど、双子を産んでからなかなか両立するのが難しくなって。難しくなってというのは、会社や仕事がどうとかではなくて、自分自身が勝手に空回りしてしまって、仕事を続けるのが難しくなってきたんです。そこで、このままじゃあかんな、と思って働き方を変えたのが8年前なんです。「整理収納アドバイザー」として独立しました。

髙島:Emiさんの写真整理のレッスンは申込開始時間すぐに申込みしようと思っても、だいたいすぐに満席になっちゃうんですよね。それまでもずっと予約とれなかったんです。それである日電車の中で今か今かと申込ページを見つめていて、よし!受付開始!!!と同時にポチッと予約したらやっと取れたんですよ。それがご縁のはじまりなんです。

Emi:そのレッスンでみゆきさんが入ってきた瞬間のことめちゃくちゃ覚えてます。青いベレー帽被ってて、ドアをパッと開けた瞬間に、えっ????てくらいオーラがすごくて。
(笑) この人に絶対声かけなきゃって思って。あんまり私お客さんに自分からガツガツ話しかけたりしないんですけど。でもみゆきさんとは話してみたいなって直感で思って。そしたらレッスンの終わりにみゆきさんが残ってくださっていて、お互いの仕事の話をしたんですよ。

髙島:ちょうどその時、長男が3歳で育児をしてたから、がっつり花屋の仕事をしてたわけではなく、趣味のような感じで依頼があったらやるっていう感じだったんですよね。

Emi:そう話してた。私も始めたばっかりやったから、これを一緒にやろうっていう具体的な案があったわけじゃないんやけど、みゆきさんとは何か一緒にしたいなって思って。

Emiさんは当時双子をご出産して働き方を変えようと独立されましたが、育児と仕事を両立するために工夫していたことはありますか?

Emiさん:写真整理するときに子どもが寝てからだとなかなかできないから、起きてる時に一緒にちょっとでもやったら進むかなと思ってやってました。触られてもいいかなって。私は、仕事は仕事、子育ては子育てっていうぱっきりした感覚がもともとそんなになかったんだろうな、と。前職でやっていた仕事が収納用品の商品企画だったんですけど、暮らしの中から生まれるアイディアを形にしていくっていう仕事で。収納もそうだったんだけど、多分そこから得られることを仕事につなげていきたいなっていう、そっちの発想だったんですよね。

髙島:子どもが起きているうちに一緒に仕事するっていう感覚が私の中にはその当時全くなくて、レッスンでEmiさんから聞いて目から鱗でびっくりしたのを今でも鮮明に覚えてます。それ以来、こういう考え方があるんやって思って実践してて。
ちょうどレッスンに行ったその日、義理の姉が誕生日だったので、早速実践してみようと思って、家にあった花材を集めて、息子を隣に座らせてリースを作ったんです。
私が画用紙に木の絵を描いてあげて、リースを作るときに出る小さな葉っぱやお花を息子がのりで貼っていくという遊びをしてもらって。1人で作っている時より、相当時間はかかったけど、やってみたら、「なんかできた!」っていうことにすごい感動しましたね。息子もすごい楽しかったみたいで、嬉しそうな顔をしてて。今まで「絶対に触らせない」とか「一緒にやるとか時間的に絶対無理だ」と思って閉じ込めてきたけど、やってみたらお互い楽しめるし、我慢しなくてもよかったんだということにすごくハッとさせられて。そこから少しずつ動き出そうかなって思えたんですよね。

Emiさん:なんかそのみゆきさんの考え方が新鮮で。フローリストとして自分1人でずっと仕事をやってきた期間が長いから、仕事(自分のやりたいこと)と子供は別っていう考えただったんだろうね。でも、それが混ざり合った瞬間から、みゆきさんがまた新しい価値観を持って、昔はそうは思わなかったことが、違う視点で見えてきたって。
「枯れたお花も可愛く見えてきた」って言ってたり。

髙島:ほんと、革命。(笑)

Emiさん:自分自身が結構、働くことと暮らすことが混ざり合ってちょうどよくやっているのが自分の理想やから、仕事は仕事ってなかなか分けられないんよね。そこをちょうどよく両方やっててよかったなって思えるようになったら、長く続けていられるかなって思う。仕事やっててよかったことは、子どもにこの仕事の面白さとか大変さも伝えられるな、とか思いながら楽しんでいる感覚。逆に子育てから得られるエピソードが、仕事につながってコラボが生まれたり、子育てしてたからこその感情が、今目の前のお客さんの役に立ってるんだとか思うことがすごいあるんよね。
両方あると私は生きていて居心地が良いって思えるから、そういう風に思える人が増えたらいいな、と心の底から思っているんですよね。結構みんな白黒をハッキリ分けて、やめるかやめないかとか悩んでる人多いと思うけど、その中間があるんじゃないかなって思ってるところです。自分にとっての「ちょうどいい」を見つけられたらそれがいいなって思うんですよね。

OURHOME主宰 株式会社i bridge取締役 Emi(エミ) × LUVONICAL 髙島美夕紀

お二人は今11歳になるお子さんがいらっしゃいますが、子どもが育ってきた先に見えたもの、変化したものってありますか?

髙島:今長男に対しては、ほとんど何もしてなくて。
一応変化だけはあるんやけど、いま思春期だから。(笑)なんかねイライラしてて。
それを見て初めはすごい心配になったけど、だんだん面白くなってきたから、見守ろうって思って。前はちょっと口を出してたけど、もう10歳だし今は見守りながら彼の変化を楽しんでるって感じかな。彼にとっての10歳がすごい変化があった年で、親から見てもすっごい成長してて。自分で自ら勉強頑張り出して成果が出てきて、自分で何かを計画をたてて実行することもできるようになってて。本当に尊敬するってくらい変化と成長が起きてるんですよね。昔は人と自分を比べることも全くしなかった子なんだけど、塾とかで自分がどのくらいのレベルなのかを突きつけられたりして、少し比べるようになってきたりとかしてて。自分の心の中から競争心が少し出てきたのも今年で。

Emi:本当に10歳をきっかけにというか、子育てが落ち着いたというか。目をかけてあげることはあるけど。双子がだいぶ大きくなってきてそれぞれの趣味とかもみつけて、今までは家族で一緒にいることが一番で、今もそれは変わってないけど、前は家にいたら4人でひとつのソファに座るみたいな感じやったんよね。
そんな感じだったから、1人の時間は全然いらないって、思ってた。
やっぱり1人の時間は欲しいってよく聞くけど、私はいらないわって。(笑)
でもコロナでさ、家にいる時間が長くなってみんな一緒にいるけど、それぞれがゲームしたり、サッカーみたり、雑誌読んだり、ベクトルがそれぞれ別の方向に向いてきたっていうか。そのときに、ふと私だけが何もないなって思って。
子どもと一緒にいた10年、ぽっかり自分には何もないって思ったときに、仕事しかないやんって。仕事って思えていることは幸せなんだけど、もうちょっと自分らしくいられる別の場所。家庭と、仕事ともうひとつ「サードプレイス」っていうか。それを作りたいなって思い始めて。それで今は毎週土曜日に学生のときにやっていたダンスをもう一回やろうと思って始めたんよ。
久々にダンスしたときは、鳥肌立つくらいの感じで、仕事のことも忘れて、家のことも忘れてただただ集中して汗をかくみたいな。それがすごい気持ちよくて、続けたいって。心から楽しめることってこういうことなんやって思った。昔の自分というか何の肩書きもない「えみ」って感じで。そこから気持ちもちょっとずつ変わってきたから、16冊目の新刊のタイトルを​「揺れ動く今、見つけたいわたしの真ん中」​っていう風にしたよ。そのときの情報に流されすぎず「自分の真ん中」があれば、まっすぐに、だけどしなやかさを持てたら、めっちゃ楽やろうなと思って。今でも自分は多分そこの場所があるなっていう感覚はあるけど、それもまた変わっていくものだし。そういうことを発信できたらいいなって思って。今の気持ちとか考え方とか暮らしのなかで自分を取り戻すこと、を書いたかな。

髙島:年齢を重ねれば重ねるほど楽になる部分もあるけど、なんか簡単に悩みを言えなくなるみたいなのは感じてて。そこで行き詰まるというのはあるかもしれない。本来の自分は
元々末っ子だし、お兄ちゃんが6才上と5才上で。うちの2歳の娘をみてると本当に自分だなと思っちゃう。なんか自分をみてるようで許せちゃう。自分の生態を見せつけられている
ようでちょっと嫌にもなるけど。(笑)

OURHOME主宰 株式会社i bridge取締役 Emi(エミ) × LUVONICAL 髙島美夕紀

子育てを通して学びになったことが仕事に繋がっているって思うことはありますか?

髙島:ちょうど今日から産休に入ったうちのスタッフの子がいて、最後の挨拶で「また絶対 戻ってくるんで」ってすごい言ってくれたのが嬉しかった。子ども産んでから復帰するしないを迷ってるってずっと言ってたからね。やっぱり子供産んで自分の気持ちもどうなるかわからないし、次の子どもも産みたいと思うと5年とかあいちゃって不安って言ってて。フローリストって技術も生きてるものだから、ブランクあけすぎちゃうと戻れないかも・・・って彼女は悩んでいたけど、とりあえず一回休んでどんな気持ちになるかやってみ
たらいいよって私は思えた。あまりに全員で大号泣してたもんやから、「もう私一生みんなに会えないんですか」って。(笑)彼女が戻ってくるまでの間、全員でお店守ろうね!っ
て。なんか感動しちゃった。

Emiさん:スタッフの入れ替わりとかお休みしている期間って、また他のスタッフが伸びる時間であったり、その子はその子で次の価値観をまた得て仕事に返してくれたり。でもそれでも未来のことは決まってないし。「もう決めなくてええやん」って思ったらすごい楽になったかな。1年後もわからないし、半年後もわからないから、結構経営者だから先々のことが気になることもあったけど、決められないから、その時その時、もしかしたら その子もすぐ戻ってくるかもしれないし、子育てが楽しかったと気づくかもしれないし、だからわたしもスタッフにその時その時でええやんって言ってる。でも自分が若い時はその先を絶対決めたかったけど。(笑)ああして、こうして、何年後に、、とか思ってたけどもう今はそういうのがなくなってきたかも、って思う。

髙島:すごい本当に出会った当初よりもすごいEmiさん肩の力がぬけてきてる気がする!!

Emiさん:あ、ほんま?嬉しい!そう、それがテーマで。40代は肩の力を抜いて迎えたいなーっていう。

髙島:私は、なんかもっと丁寧に暮らしたいなっ今思ってて。

Emiさん:美夕紀さん、忙しいもんねー

髙島:調整がなかなかこっちからかけづらいお仕事ということもあって。だからこの職種に対して女性が働ける環境をつくるっていうが目標かなー。